自分では明確に書いたつもりでも、読者には理解できないことがあります。前提となる文脈が共有できていなかったり、専門用語や情報量が多すぎて疲れてしまう文章構造だったり、原因はさまざまです。
文章理解と免疫システム項目 | 内容 |
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抗原 | 文字や単語、意味を識別できる対象 |
自然免疫 | 基本的な語彙や文法知識 |
獲得免疫 | 過去の抗原体験、多いほど理解が早い |
異常検出 | 知らない単語に出会うと違和感を察知 |
炎症反応 | 異物に対して活性化が起こる 思考の炎症は理解に至ると治る |
免疫寛容 | 有害でない単語は許容される |
神経伝達 | 単語の意味がネットワークを通じて概念に |
記憶 | 炎症後の理解できた状態は長期記憶される |
文章が正しく理解される構造を免疫システムと比較してみました。通常の読者は自然免疫を持っている状態と言えます。専門用語を説明なしで使ったり、独自世界を展開する場合は、同様の読書経験のある人には免疫があるためスムーズに理解されます。
一方で知らない単語に出会った読者には炎症が起こり、理解できるまで思考を続けることになります。また知らない単語でも興味がなかったり、重要性を感じない場合は、炎症対象にはならず、無害だと無視されます。
この仕組みで考えた場合、伝えたいことは導入過程で知る必要性のある状態にすることで、理解へと繋げることができると分かります。例えば事件から解決へと話を進める、つまり炎症状態と治療を行う免疫獲得型、または有害な状態を提示して危機感を煽り、最後まで一気に読ませるワクチン型などが考えられます。
そして結果的に読者が獲得した免疫が筆者が設定した伝えたいこと、残したいことになります。本に書きたいことが何に対する対抗手段になるのか、獲得することで広がる世界に何があるのかなどを深堀することで、価値を高めることができます。